お看取りについてのブログ
2024/07/11
娘様への愛情を最期まで
vol.14 T様/女性(85歳)
医師到着までの最期のひととき
娘様から「挿入された胃管から、コーヒー残渣様(ざんさよう)の排液が多量で苦しそう」とご連絡があったため、ケアマネと看護師が伺わせていただき、座薬とHOT(在宅酸素療法)の機械を急いで整えさせていただきました。
さらに夕方、娘様より緊急で「下顎呼吸している」とご連絡があり再度訪問したところ、深大性の呼吸へと変わっていました。
偶然介入訪問した介護士も一緒に見守る中、娘様が「ママ、ありがとうね。ママの子に生まれて良かったよ。」と何度もT様の頬に触れてお声かけされる姿に、一同涙を流し、お会いできて良かったと感謝をお伝えいたしました。T様ご本人はしばらくうっすらと目を開けられ、ご主人の遺影に目をやっていらっしゃるようでした。
娘様とのお時間を配慮し、スタッフは一度退出。約20分後に再度訪問すると、娘様は「クルクルパーマの先生が来てくださっています!(訪問医の事をそのように呼んでおられました。)」とおっしゃいました。訪問医はタクシーで急いで来られていました。
しばらくしてT様は最期のひと呼吸をされ、娘様が見守られるなか旅立たれました。その後、訪問医にて死亡確認がされました。
娘様が傍にいられるように
T様は、最期に娘様を呼ばれた時「お店の電話を留守電に変えておいで」とおっしゃられ、まるで娘様が傍にいる時間を作られたかのようでした。また、娘様が慌てないよう、介護士や看護師がその場に居合わせる状況を選んで旅立たれたかのようで、T様の娘様への愛情を最期まで感じるお看取りでした。
思い出の赤いコートと娘様のご意思
エンゼルケアのお化粧は娘様がされました。お洋服は「T様のご主人が生前プレゼントされた赤いコート・ハイヒール・コーチのバッグを」とうかがっていたため、看護師がT様のお傍に準備させていただきました。娘様がT様に「銀座にお食事に行くとしたら何着ていく?」と質問され、お決めになったコーディネートでした。
娘様は「父は緩和ホスピスで亡くなりました。その際、母に『僕が亡くなったら、君に買った赤いコートを着て、ニューヨークのメトロポリタン美術館へ行って、パヴァロッティのオペラを聞きに行って来るんだよ』と言い残し、本人は逝ってしまったんです」と、赤いコートの思い出をお話くださいました。
看護師が娘様に「これからどこか思い出の場所などに行かれますか?」とうかがうと「一生懸命働きます!」と未来に向かって進んでいかれるご意思を伝えてくださいました。
娘様から「家族に看取られ、本人も寂しさを感じることなく、やりきった人生だったと思います。もうグッドライフケアの皆さんとお会いできないのが寂しいです。大変お世話になりました。」と感謝の言葉をいただいております。
エンゼルケアが終わり、T様と娘様とのお写真を撮らせていただくなど、オリジナルのエンディングをご一緒に迎えました。また、今まで関わらせていただいたスタッフも、亡くなる直前の大切な時間に立ち会うことができました。
「最期まで関わる事ができ、大変感謝致します」とお伝えさせていただいております。
皆さま 大変お疲れ様でした。