お看取りについてのブログ

最後のわがまま

vol.01 M様/女性(53歳)

最後のわがまま

「私、大好きな主人と大好きな妹のそばにいたいの。病院に行くってことはバイバイしなきゃダメなの?もう死ぬってことなの?私は最期までここで味わいたいの」
M様ご自身が残してくださったお言葉でした。

M様は腹膜がん末期の患者様でした。
早朝に「呼吸が止まっているようです」とご主人よりお電話があり、伺うとM様は手を前に組まれ、眠ったようなお姿で、呼吸だけが止まっている状態でした。

M様はぎりぎりまで綺麗なお姿でいたいと、お亡くなりになる3日前まで毎日入浴をなさっていました。看護師も毎日訪問し、M様の希望に寄り添いながらケアを行わせていただきました。
当初、せん妄が強くなり、大きな声も出るようになってしまったM様。最期の場所は病院を希望されてましたが、「大好きな人に見守られながら最期の時を味わいたい」「最後のわがまま」とお家を選択されました。可愛く甘えるM様の強い気持ちや信念は、揺らぐことはありませんでした。

思い出のワンピース

せん妄、腹部の痛みが強くなり動けなくなった時に、
「もう動けない、ベッドはもういいの。両親が結婚した時に買ってくれたお布団で寝たいわ。可愛いワンピースを着せて」と仰られました。まるで生前エンゼルケアを行わせていただいたかのようでした。 
ご主人と最期のお洋服をご相談し、「やはりあの時のワンピースですかね」と、思い出のワンピースにお着替えしてくださいました。髪の毛は椿油を3滴、竹の櫛でとくM様のお作法を、そのままご主人が行い、最期のお姿を整えさせていただきました。
 

看取った後に出てくる達成感は、次に歩んでいかれる方達の原動力にもなります。看取った側も看取られる側も、同じ気持ちでいることの大切さを、今回改めて学ばせていただきました。

後日談

生前のM様は「PTの方でとっても面白い人がいるの。とっても人気のリハビリさんなんだって」とリハビリを楽しみにされていました。「看護師の方も穏やかでとても優しいの。いつも癒されました。先生やここに来る方はみんないい人ばかりね」とたくさんのお言葉もいただきました。
ご主人には「本当にありがとうございました」と感謝のお言葉をいただきました。

グッドライフケアでは、利用者様、家族様のお気持ちを一緒に考えながら、「自宅で最期まで」をサポートし続けていきます。

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