お看取りについてのブログ

余命の告知を控えた家族との最期

vol.15  N様/男性(54歳)

N様はNクリニックのI医師の立ち会いのもと、穏やかに永眠されました。

今回は、ご両親にも子供たちにも病状を話さず、お看取りとなったケースをご紹介します。

N様は主治医から余命が春までと告げられていたものの、中学生のお子様への影響やご両親への宣告の不安から、病状を伝えることを躊躇していました。そのような状況で訪問看護が始まりました。

在宅療養と家族との時間

退院後、N様は約1ヶ月間の自宅療養となりました。
訪問看護のサポートを受けながら、酸素吸入、中心静脈栄養管理、フェントスなどの鎮痛薬の投与も行われました。

限られた時間の中で、N様と奥様は、残された時間をどのように向き合うのか、ご両親や知人、大切な方との時間をどのように過ごすのか、特に幼い子どもたちへ命をどう繋いでいくかを話し合われました。奥様は「カッコ悪い終わり方だけはしてほしくない」と強く願われていました。

最期の瞬間

そして、最期の日が訪れました。幼い3人の男の子と奥様に見守られながら、N様は穏やかに旅立たれました。

中学1年生のお子様は、必死に母親のそばに寄り添い抱き合いながら悲しみを乗り越えようとしました。2番目のお子様は、クラブ活動から帰宅後もずっと側に寄り添い、エンゼルケアでは足の保湿をたっぷりと丁寧に塗ってくれました。3番目のお子様は、シャンプー中に私の足元にペットボトルのお湯を用意してくれたのですが、誤ってボトルが倒れて床が水浸しになるハプニングも。その後、「死んだの?」と素直におっしゃって、周りの方を笑わせたり、ムードメーカーになってくれました。

ご両親も涙を流しながらも、穏やかな表情でN様を見送りました。次々と駆けつけた知人の方々も涙を流し、N様を温かく包み込みました。

最期はお子様と奥様が選んだ、N様らしいお仕事のスタイルで迎えられました。

告知と看取りを通して

告知は、病名の告知と余命の告知があります。そして亡くなるまでの時間と亡くなってからの時間があります。その2つの関わりを大事にすることは、ご本人様の生き方や次に歩んでいくご家族の生き方にもつながるものだと感じています。

この経験が、同じような状況に直面する方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。

担当医の先生をはじめ、関係者の方々にも深く感謝申し上げます。

大変お疲れさまでした。


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