パーキンソン病の方のためのブログ

パーキンソン病に対するVRリハビリの効果

パーキンソン病の方に役立つ基礎知識vol.28

近年、リハビリテーション医療において仮想現実(virtual reality:VR)技術の導入により、神経疾患や筋骨格系疾患の運動機能やバランス能力の改善に有効性が示されつつあります。我が国でも脳血管障害の半側空間無視における注意機能障害に改善が見られたとの報告もあります。

VRは日常生活や自立に影響を与える症状を経験しているパーキンソン病患者にとって有望な方法です。VRリハビリを通じて、患者は安全でストレスのない環境で運動能力を向上させることができると言われています。

韓国の国立保健研究院のKwon氏らの報告によると、VRリハビリにより、パーキンソン病患患者のバランス機能が顕著に改善したと報告されています。

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歩行機能については10m歩行テストにおいて、有意に改善が見られました。6分間歩行テストなど他の評価指標では改善は見られなかったと報告されています。VR を用いたリハビリの利点は, 適切な難易度設定と報酬のフィードバックにより強化学習則を利用し、高い治療効果を期待できる点にあります。


2019年に、mediVRカグラ*が開発され、様々な施設での導入が進んでおります。今後さらに、VRシステムを活用したリハビリ治療のエビデンスが蓄積されて、パーキンソン病に対する脳の再プログラミングによる運動機能の改善へと結びつくものと期待されています。

参考文献:A systematic review and meta-analysis on the effect of virtual reality-based rehabilitation for people with Parkinson's disease. J Neuroeng Rehabil. 2023;20:94. doi: 10.1186/s12984-023-01219-3

mediVRカグラ・・・仮想空間上の狙った位置に手を伸ばす動作(リーチングと呼びます)を繰り返すことで、姿勢バランスや二重課題型の認知処理機能を鍛えるリハビリテーションをサポートする医療機器。

column-tatukawa.png立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>

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