お看取りについてのブログ

母の本当の気持ち

vol.12  O様/女性(82歳)

いつの間にか天国へ

M様の娘様より緊急番号にお電話があり「今、気づいたのですが、呼吸してなくて天国に逝ってしまったみたいです。」とのこと。急遽往診医へ依頼連絡をしました。

娘様よりエンゼルケアのご希望をいただいたため、すぐに訪問しました。往診医はまだ到着されていなかったため、娘様と息子様に詳しい状況のご説明をしていただきました。

娘様は涙されながら「何か変な感じしたから、1・2時間おきに起きて声をかけていました。『苦しい?』って聞いたら『少し』と返事があったのですが、そんなに苦しそうには見えませんでした。口を拭ったりして様子をみていましたが、気づいたら逝ってしまっていて。。。」とお話しくださいました。

ご本人様は、眠ってらっしゃる様な穏やかな表情であり、まだ温もりがある状況でした。



最期の語らい

娘様、息子様は、共にベッドサイドでお母さまのご様子を眺めていらっしゃるだけだったので、お母様の最後の温かさを感じていただけるよう、お身体に触れていただくようにお伝えしました。娘様、息子様共に、お母様へ想いや労いの言葉をかけられ、涙ながらに沢山お話しくださいました。

息子様は「ただ眠っているだけみたい。苦しみや痛い思いだけはさせたくなかったから、本当によかった。せん妄を起こした頃から、そろそろかもと覚悟していました。母は『26歳で両親をこの家で看取ってからずっと、子供たちには迷惑をかけたくない』と話していました。でもその時、母の本当の気持ちが聞けた気がします。やっぱり自宅で看取ることができて良かった。叶えてあげられて良かった。」

娘様からは「元々綺麗好きだったから、掃除が大変でした。掃除機をかけると昔は怒られました。『空気汚くなるでしょ』って。そういうのももう無いのね。今までありがとう。洋服もこだわりが強くて『着てみたら胸元が開き過ぎるから要らない』って私に回ってきたり。入院中もよく呼ばれて、アレコレ持って来るように言われました。でも不思議と嫌だと思いませんでした。親孝行できたのかなって。

往診医が到着し死亡確認された後、娘様、息子様と一緒にエンゼルケアをさせていただきました。清拭した後、お気に入りのパジャマにお着替えをさせていただきました。事前に選んでいたお洋服は、話し合って棺の上に置く事になりました。



感謝の気持ちと、ゆっくり休んでほしいという思いでいっぱい

お身体を拭きながら、娘様は「こんなに細くなっちゃったね。でも、細いのを自慢していた人だから、天国でも自慢しているかもね。なんだか、本当に眠っているだけみたい『耳元でうるさいわよ』とか言いそうね。初めての介護だったけれど、ちゃんと出来たかな。『自宅に帰りたい』って言われて、軽い気持ちでいいよって言ったことを最初は後悔してた。。。」 と独り言のように仰り「たった10日程でしたが、今は達成感の様なものがこみ上げています。いつまでもメソメソしていたらママに怒られますよね。これから、色々なタイミングで思い出しては泣いてしまうかもしれませんが、今は感謝の気持ちと、ゆっくり休んでほしいという思いでいっぱいです。」とお話しくださいました。

また息子様からは「父は82歳の時、病院で亡くなりました。その分、母は自宅でみようと決めていました。これ以上長かったら、実は僕達の方が倒れちゃいそうだったから、そういうところはさすが母だなと思います。きっと、僕達のことをわかっていたからこのタイミングで逝ってしまったんだと思います。会いたい人たちには会ってもらえたし。母には頭が上がらないです。看取ることって、して上げたくても家族にしかできないことじゃないですか。貴重な経験をさせて貰いました。一生忘れられない想い出です。お世話になったスタッフの皆様ありがとうございました。」とお言葉をいただきました。

ご冥福をお祈りいたします。



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