お看取りについてのブログ

親父らしい最期

vol.8  M様/男性(71歳)

最期まで自分らしく生きたい「素晴らしい人生」

ご本人様は、喫煙やテレビを観る事など自由に過ごしたいお気持ちがあり、病院からご自宅へ帰ってこられていました。喫煙されていると在宅酸素は使えませんが、最期まで自分らしく生きたいとのご希望を強く持っておられました。


ある日、看護師が息子様へ本日の訪問時間をメールすると、すぐに義娘様よりお電話がありました。息子様がご本人を見舞われた際、ご本人様は呼吸停止しており医師に連絡したとのことでした。即ご本人様宅へ伺うと、医師は既に到着し息子様は傍で見守っておられました。


息子様は当初、ご本人様の最期の場所は病院が良いと考えておられ、ご本人様とトイレにご自身で行けなくなったら入院することをお約束されていました。最期のお姿は、まるで「トイレに行けるよ。」とおっしゃっているかのように、ポータブルトイレに座った状態で息を引き取られていました。息子様はそのお姿に「親父らしい最期を迎えることができました。素晴らしい人生だったと思います。」とおっしゃっていました。


息子様は「八百屋をやっていましたが店じまいとなり、親父の勧めがきっかけで始めたゴルフで、プロになったんです。今は子供たちのゴルフ教室をしていて忙しく、親父が転んだときは丁度不在にしていました。親父の希望を叶えるため、退院してからテレビを買ってきたけど、一日でも見てくれたかな。親父には本当に苦労かけたんです。私の3人の娘をとても可愛がってくれて、連れてきた時の嬉しそうな顔が忘れられないです。」とお話されていました。


看護師からは、息子様が良くしてくださるとご本人様から伺っていた旨をお伝えしました。ご本人様はあまり多くは語らない方で我慢強く「お父様らしい逝き方でしたね」などとお話させていただく最中、息子様は必死で涙をこらえていらっしゃるご様子でした。看護師から「泣いていいんですよ」とお伝えすると、せきを切ったように涙を流されていました。


エンゼルケアとして、最期のお姿を息子様と一緒に整えさせていただきました。



「いつでも誰かが来てくれる」という安心を感じて

亡くなる2日前、ご本人様から看護師に、テレビが覆い被さって倒れた時すぐ看護師に助けられたことや、介護士が買い物などの身の回りの世話をしてくれることなどを話され、「入院せずに最期まで自宅で大丈夫だと思うんだよね」とおっしゃっていました。ご本人様はご家族と別居され独居でしたが、ご家族の負担になりたくないという気持ちをお持ちでした。看護師によるケアや、サービスの増回にすばやく対応した介護士、ベッドなどを早急に準備した福祉用具など、私たちのチームプレイによってご本人様のご希望に沿う内に「いつでも誰かが来てくれる」という安心を感じてくださっていたのではないかと思いました。

この度のご縁に感謝いたしております。

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