お看取りについてのブログ

ご本人様への関わりが、穏やかな天候に現れた

vol.4  T様/女性(84歳)

たくさんのスタッフが関わったお看取り

T様には、本当にたくさんの弊社スタッフがその人生の終末期を共に過ごさせていただきました。
介護による入浴介助・リハビリ・看護・福祉用具・ケアマネと関わらせていただき、ご本人様やご家族様からたくさんの感謝のお言葉をいただきました。
「介護のAさんは本当によくしてくれて、気遣いがいいのよね。リハビリのM君の前で吐いちゃったの、あれはびっくりしたと思うのね、すぐに先生に連絡してくれて。K看護師さんは一生懸命なのよ」
ご本人様は、これまで関わらせていただいたスタッフ一人ひとりへの想いが溢れていらっしゃるご様子で、亡くなる前日まで何度も繰り返しお話しくださいました。


覚悟のわがまま

ご本人様は、ご自身のご両親を看取られた後、ご兄弟と同居されていました。動けず家族に迷惑がかかるようになると入院を希望されましたが、ご家族の方々はご自宅での介護を希望されました。ご本人様も「わがままかけちゃうわよ。でも、わがまま言おうと思います」と覚悟をなさったかのようでした。

ご本人様が息を引き取られたのは、たまたま担当者会議で関係者が集まり、みんなでご本人様のエアーマットを入れ替えて最期の場所を整えさせていただいた、その10分後でした。弟様は取り乱され「ベッドを変えたりした移動が、身体の負担になって亡くなったんだ!」と、やり場のない気持ちを訴えておりましたが、葬儀社を決めるなどされる中で、徐々に亡くなられたことを受け止められ、私たちスタッフに「ごめんね、ありがとうね」とのお言葉をいただきました。「もう皆さんも来なくなるんだね」と寂しさもお話くださいました。
近しい人の死は、受け止められるまでに段階があり、怒りを経て受容していく場合があります。気持ちのやり場がない状態から、受け止める気持ちになるまでのサポートも、時には関わるスタッフの役割としております。

最後は優しい表情で

ご本人様がご用意されていたお気に入りのお仕立てスーツへ、最期のお姿として看護師2名で整えさせていただきました。そして、M代様のお子様方がご本人様のお体を拭いて保湿まで行ってくださいました。ご本人様は、お子様方の小さな手のぬくもりに微笑みを浮かべたような、優しい表情になってらっしゃいました。

その日、雷と大雨で天候は荒れていましたが、エンゼルケアが終わった頃には雨は上がっておりました。
それまでの皆さんのご本人様への関わりが、穏やかな天候に現れたような、思い出深いものとなりました。ご縁をいただき感謝いたしております。

 

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