お看取りについてのブログ

心の苦痛が和らぐ最期

vol.18  A様/男性(87歳)

A様ご本人に呼吸苦があったため、T病院へ救急搬送。

2日後に亡くなったとパートナーのI様よりメールをいただきましたので、お電話してご様子を伺いました。

うなずきだけでのやり取りの中、皆で見守る最期

誤嚥性肺炎を起こして、酸素供給や点滴をしても肺は真っ白でした。重篤な状態でしたが、うなずくことはできました。入院の手続きをしていましたら、息子さんご夫婦と妹さんも来てくださり、15分ほど交代で面会をされました。その時も苦しそうでお話はできませんでしたが、うなずきで意思表示ができていました。

飲み物を買いに近くまで出た時、息子さんからの電話ですぐに呼び戻されました。その日病院に居た皆で見守り、最期のひと呼吸を見届けることができました。

お互いの思いを、苦しい中でも感じた日々を振り返って

苦しそうにしていることが多かったので、もう長くはないだろうと昨年末頃から感じていました。楽にしてあげたいとずっと思っていましたが、亡くなるまでの時間は、あっという間でした。ケアのためのお部屋を本人がもう一つ借りようと契約してくれていましたが、結局は不要になりました。私が困らないようにして逝ってしまいました。 お互い好きあって連れ添い、今日で19年なんです。まだ片付けができていない自宅のベッドや吸引器などを目にすると悲しくて。。。とおっしゃっていました。

A様は看護師に「最期は自宅で迎えたい。自分の死期は間もなくだから、準備をしなくては」とI様に気づかれないようにおっしゃっていました。そのことをお伝えするとI様は、A様の想いに改めて触れ、電話の向こうで涙を流されているご様子でした。生前、看護師を通じてお互いの愛情を伝え合う、とても仲の良いお二人でした。

最期の選択を信じて

最期の時は病院で迎えられることになってしまいましたが、急変時に救急車の到着を待つ時間で、息子様への連絡が可能になり、ご家族が集まる時間を確保され、ご家族にお別れをし、何より愛情を寄せられるI様の事を思いながら逝かれたA様でした。病院にいらっしゃる間、少しは苦痛が和らいでいたと信じています。

A様のケア期間中、事業所をまたいで同じこころざしの看護師とご縁があったこと、何よりI様とA様のような素敵なお二人と出会えたことについて、感謝をお伝えさせていただきました。

I様からは「たくさんの方に支えていただき、ありがとうございました。」とお言葉をいただいております。

関わられたスタッフの皆様 大変お疲れ様でした。


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