パーキンソン病の方のためのブログ

パーキンソン病と感覚障害

パーキンソン病の方に役立つ基礎知識vol.44

疼痛と感覚障害

パーキンソン病患者はしばしば疼痛(とうつう)や、しびれなどの感覚障害の合併をすることがあります。これらの症状は、パーキンソン病の病態、治療薬の影響、または他の合併症によるものです。
パーキンソン病の病態による疼痛は、中枢・末梢神経系の病変、無動や姿勢異常による二次的疼痛に分けられます。また、レストレスレッグス症候群*や周期性四肢運動障害*などのパーキンソン病関連疾患に伴う疼痛、うつや便秘による腹痛などパーキンソン病由来の病態による疼痛もあります。

抗パーキンソン病薬による疼痛は、薬剤性誘発ジストニアやジスキネジア、頭痛、下腿浮腫関連痛などがあります。さらに、片頭痛、変形性関節症、圧迫骨折、末梢神経障害などの合併症による疼痛も加わります。特異な疼痛として口腔の灼熱痛や陰部痛も報告されています。

2009年の発症頻度         
・筋・骨格系疼痛:59%
・ジストニア痛:34%
・神経根・末梢神経障害性疼痛:16%
・中枢性疼痛:9%
                 
疼痛はしばしば運動障害に先行し、パーキンソン病の症状の優位側に顕著に発症する傾向があります。またオフ時(薬の効果が切れる時間)に出現、悪化することが多いといわれています。

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感覚障害と身体疾患に伴う疼痛の治療

感覚障害の治療にはオフやオフ時ジストニアに関連する疼痛に対して、ドーパミンアゴニストの追加・増量、エンタカポンやセレギリンの追加、Lドパ頻回投与などが有効です。
身体疾患に伴う疼痛の治療では、合併症の治療やNSAIDs、神経根ブロック、貼付薬、温熱療法、リハビリなどが一定の効果を示します。

非運動症状の背景はパーキンソン病の病態だけではなく、薬剤性や合併症など様々な要因が関与しています。それぞれの状況を見極め、適切な対応を行うことで、より効果的な治療が可能になります。

(参考文献 Beiske AG ,et al. Pain in Parkinson's disease:Prevalence and characteristics. Pain 2009;141:173-177)
レストレスレッグス症候群*・・・別名:むずむず脚症候群、下肢静止不能症候群
周期性四肢運動障害*・・・睡眠中に上肢や下肢にピクピク動いたり素早く跳ねたり、それにより睡眠が妨げらる障害

column-tatukawa.png立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>

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病の進行具合と未来像を予測しながら、リハビリの具体的なアドバイスをいたします。
パーキンソン病の特徴にあわせた自立度の高い方向けのリハビリプログラムを設定しています。

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