パーキンソン病の方のためのブログ

パーキンソン病で視界がぼやけるのはなぜ? 原因を詳しく解説

パーキンソン病の方に役立つ基礎知識 vol.63

PD患者には病気の経過中に様々な視覚障害を発症する可能性があります。PDにおける視覚の変化は、視力、コントラスト感度、色彩弁別、瞳孔反応、眼球運動、運動知覚、視野感度、および視覚処理速度の変化に関連していると考えられています。

PDの非運動症状

PDの非運動症状には、うつ病、無関心、睡眠障害、認知障害、認知症、自律神経系、胃腸系、感覚系の問題などがあります。特に感覚障害は、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、固有知覚などに問題が生じることがあります。

視覚症状の具体例

PDの視覚的な症状には、眼球運動や瞳孔機能の障害、距離や物体の形状を判断する能力の低下など、複雑な視覚作業の障害が含まれます。視力は特に低コントラストの状況で劣ることがあり、網膜内のドパミン不足や異常な眼球運動、瞬き不足が原因とされています。


PD患者は、健常人と比べて瞬きの回数が少なく、その結果、涙液の異常、ドライアイ、視力低下を引き起こす可能性があります。鼻梁の上を軽くたたくことで誘発される瞬き反射も、健常人では繰り返し叩くと慣れて瞬きが減るようになるのに対し、PD患者では、繰り返し叩いても反応が持続する傾向が見られます。

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視覚運動性眼振と複視

外界が大きく動く時、列車の中から外の景色を見るような状況では、遅い眼球運動(緩徐相)と速い眼球運動(急速相)が繰り返されます。これは視覚運動性眼振と呼ばれ、PD患者ではこの動きに異常が見られることがあります。

両目で物を見るときは焦点が合うように、遠いものと近くのものをピント合わせ(水晶体レンズの調節)や視角(輻輳角*)を調整しなければなりません。

PDの患者の中には、大きな外斜視(眼球が外側に偏向する)が見られることがあり、その結果、物が二重に見えたり(複視)することがよくあります。眼球の動き、眼球運動そのものが障害となり、特に水平運動よりも垂直運動が障害の程度が大きいとの報告もあります。

幻視と薬剤の副作用

PDの合併症状の一つに幻視が見られることがあります。これは、エルドパ製剤やドパミンアゴニストで治療を進めるうちに発生することが多いです。

抗コリン薬・・・・・・散瞳、羞明、ドライアイ、調節力の低下、瞳孔不同、かすみ目、前隅角閉塞
セレギリン(MAOB阻害剤)・・・・・・視力低下や視界のぼやけ
アマンタジン・・・・・・散瞳、表層角膜炎、調節力の低下、幻覚

*輻輳角・・・両目が同時に内側を向く目の動きの角度

column-tatukawa.png立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>

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