お看取りについてのブログ
2025/11/20
ご自宅にて穏やかに永眠
vol.29 N様/男性(72歳)
告知から在宅療養へ
N様は、羊羹や和菓子に名入れをする職人さん。しかし、病名の告知と半年の余命宣告は突然にやってきました。N様ご自身がそれを分かっていたかのように、「入院はいやだなぁ」と意思をはっきりお伝えされており自宅に戻られて1ヶ月。奥様に見守られながら穏やかに逝かれました。直前の状態変化の時にも、奥様はヘルパーの経験があったがゆえに少し知識があり、いろんな変化が不安だとお話がありました。
亡くなる直前、「呼吸が苦しそう」「痰がゴロゴロして...」とご連絡があり、医師も看護師も頻回に緊急訪問となりました。朝をむかえた訪問では、さっきまであった血圧も、私の目の前で血圧は下降しており、奥様が困らないようにしてくれたと感じました。
最期の大切な時間
奥様にまもなくであること、傍にいてくださいとお伝えしました。N様のお姉様が「頑張って!」とお声をかけると「あー、あー」と、マスク越しに何か仰っしゃろうとしていました。更に奥様へ、「ここからは呼吸が止まったり、その止まった時間も長くに変化していきます。もう焦ることもなく奥様との大切な時間にしてください。苦しい姿はなくて穏やかですね、お家がいいとそれを叶えてくださったからなんですね、奥様も苦しい姿を見るのがつらかったですね、よく頑張りましたね。」と背中をさすりながらお伝えしました。
呼吸が止まったというご連絡が入り、看護師がエンゼルケア対応。表情穏やかな奥様に安堵。奥様へお電話しました。
奥様:「ずっと傍にいたのね、離れられなかったから。そしたら呼吸止まってね。」
私:「最期のひと呼吸がみれたんですね。」
奥様:「(電話のむこうで涙されながら)こんなに早いなんて。最期お話ができなかったけど、皆さんのおかけで、これで良かったんじゃないかな」と、悲しみの中にも笑顔でお話くださる奥様。何度も「ありがとう」とお伝えされ、終話できないほどの思いをいただきました。
スタッフの尽力
今回、E看護師よりグッドライフケア専用の「お看取りパンフレット」をお渡しして、亡くなるプロセスを事前にお伝えしました。徐々に変化していく状況を一緒に感じる事ができました。
それでも、そのプロセスは様々で、N様ご本人の「入院したくない」という思いや、ご家族様の不安にその日何度も頻回に介入してくださったW看護師にも感謝いたします。ソファーをどかしてリビングにベッドを設置くださったOケアマネの采配と、福祉用具スタッフの早い対応、日々の皆さんの関わりで穏やかな最期をお迎えいただけたこと。最高のチームでお支えできた事に感謝いたします。その方の最期を、突然の形にしない事は、グッドライフケアだからできる事だと改めて感じています。関わられたスタッフの皆様へ、大変お疲れ様でした。

