お看取りについてのブログ

納得できる最期を目指して

vol.7  T様/女性(82歳)

癌の急な進行に戸惑いながら対応されるご家族様

卵巣がん末期のT様のお話です。腹水が著明で帰宅するため、早々に末期の診断をいただきました。突然の急変の可能性も考えて、往診医を併診するようサービスを整えていた最中の出来事でした。

ご主人様は、今年に入りT様の急な癌の進行に悲しみで涙を流されながらも、ご本人様の前では気持ちをこらえていらっしゃいました。T様のつらい姿や逝くことへの不安が強く、抗がん剤の治療を諦めない気持ちと病状変化もあり、受診日までは様子をみてらっしゃいました。

亡くなる当日の朝。U看護師が早めに訪問しようと時間変更の連絡をしました。その際、T様がお腹を痛がっているとお話があり、病院へ連絡するよう手配しました。

その後、改めて連絡すると様子が落ち着かれたのか「U看護師が来たときに見てもらうよ」とおっしゃいました。私はやはりU看護師の訪問を早めて伺うように調整して、U看護師も自らこれから伺いますと連絡し訪問になりました。


U看護師が到着した時には、息子様がT様の傍で涙を流されていました。ご主人様は「こんなにあっけないものなのか、救急車が来ても死んでたら運んでくれないよな」とおっしゃっていました。救急隊が到着し心臓マッサージを繰り返し、
呼吸器の説明をご主人様にされ挿管されました。U看護師はずっとご主人の背中をさすり続けました。

 

ご本人様、ご家族様の意思に寄り添うケアをする

私たちの願いは、ご本人様の痛みや苦しみをとってあげること、そしてご家族様の不安を軽減させることです。最期まで家でと思ってもゆらぐのは当然で、それでも穏やかな最期を迎えられるよう、残された時間をどのように整えていくかを大切にしています。

定期的に訪問している私達だからこそ、変化に早く気づいて対応する、そしてご本人様、ご家族様の意思に寄り添うケアをする。このことは、どんな形で亡くなったとしても、ご納得いただける最期を迎えられると感じました。

U看護師が早めに伺いご主人様の傍にいたことは、ご利用者様と向き合う経験になったのではないでしょうか。ご縁をいただいたことに私からも感謝いたします。

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