お看取りについてのブログ

予期せぬ死と感謝の言葉

vol.24  S様/女性(89歳)

状態急変のリスクがありつつ、ご家族とのご旅行へ

S様は、ご家族との軽井沢旅行を1カ月ほど計画されていました。

往診からは『骨髄異形成症候群のため出血傾向で、状態の急変リスクが高い』と診断されていましたが、ご入浴されるほどご体調が良かったため、軽井沢へのご旅行は予定通り行われました。

結果として、ご旅行はご家族との最後の思い出に

ご旅行に出発されるも、期間中に体調不良でご帰宅。看護サービス増回のお打ち合わせをご家族と行っておりましたが、ご帰宅から10日後の朝には発熱。その後、呼吸停止されたとご連絡がありました。往診医にて死亡確認がされ、看護師もエンゼルケアのため伺わせていただきました。

ご主人と息子様ご夫婦と一緒に、お身体の状態を確認させていただくと、閉じられたお口の中に、吐血が多量に溜まっていました。吐血を取り除くためにお身体を横に向け、鼻や口から流れ出るのを、ご主人に3回ほどおむつで受けていただきました。きれいにお身体を拭き、洗髪もさせていただきました。

その後、S様がお好きだったお洋服にお着替えをし、送り出しのご準備をさせていただきました。

ご主人は「なんか話してくれ。話さないのか?」とS様の頬をなでられ、奥様の死を直に感じておられるご様子でした。

医師からの告知を、ご家族がどこまで理解され、受け止められていたのか

「ご家族にもう少し早く、S様の旅立ちのご準備をしていただける、穏やかな時間を作って差し上げることはできなかったのか」など、もどかしさを感じていました。

ご主人より「以前、摘便の処置をしてくださった看護師さんでいらっしゃいますか? あの時は助けてくださり、ありがとうございました。」と感謝のお言葉をいただきました。お困りの時に、看護師がお応えできていたのだと少し安心させていただきました。

S様の死を通して「穏やかに最期まで生きることとは?」「生き抜かれる時間をどうお支えするのか?」改めて考える機会をいただきました。

この度は結果として「予期せぬ死」となってしまいましたが、ご家族の皆様から「ありがとうございました」と感謝のお言葉をいただいております。

最期のケアに関わるご縁をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

ご冥福をお祈り致します。

 

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