お看取りについてのブログ

『生きる』を支える

vol.26  I様/男性(67歳)

在宅での医療と奥様の願い

I様のご病気は白血病でした。

奥様の強いご希望で退院を決意されたため、人工呼吸器、経鼻チューブ、中心静脈栄養カフティーポンプ、シリンジポンプ2台、Ba挿入など、病院で行っていた治療をそのままご自宅で続けることになりました。余命数日の状態でしたが、I様はご自宅で1週間を過ごされました。

奥様より『病院で主人と会話することはできなかったんです。その上治療で、貼ったフィルムを剥がす際、皮膚まで剥がれたのを目の当たりにしました。気管カニューレもあっという間に入ってしまったり・・・色んな事があったんです。人として扱って欲しい。当たり前のことを当たり前にやって欲しいだけ。言葉を発する事もできないけれど「尊厳」を大切にして欲しい』と奥様がお気持ちを話してくださるうちに、I様に残された時間は、限りある時間になっていきました。

家族と共に過ごす穏やかな日々

『主人は特にインプラント手術に関して、とても腕の良い歯科医として評価いただいていたんですよ。家に連れて帰ってきて、本当に良かったと思います。心から寄り添っていただけるグッドライフケアの皆さんに出会えました。家にいてくれて介護できることは、とても安心できます。詳しい身体の状態は分からないけれど、穏やかに過ごせる事が何よりです』と奥様はおっしゃられ、さらに『11月は私の誕生日なんです』とI様に向かって優しく『祝ってー』とささやかれました。

担当した看護師から、『人の生き方は様々ですが、その方の心に寄り添うことが何よりも大事だと思っています。関わらせていただけたのはご縁ですし、I様と奥様に出会えたことで多くのことを学ばせていただきました。感謝の気持ちでいっぱいです』とお伝えしました。

奥様ご自身もゆっくりと心の準備をされてきたご様子でした。

尊厳に寄り添うケアの重要性

その方の生き方の尊厳に寄り添う時間の中で、最後まで丁寧に関わっていくこと、その時できることが何かを最大限考えることが大切であると、介護士やその他関わるスタッフに改めてお伝えしたいと思いました。

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