若年性パーキンソン病 パーキンソン病の方に役立つ基礎知識vol.49
若年性パーキンソン病とは
若年性パーキンソン病(YOPD:Young-onset PD) は、20歳から50歳の間で発症するパーキンソン病(PD)のことを指します。病気の症状は、どの年代で発症しても基本的に同じですが、若い人はその生活環境によって、この病気に対する感じ方が異なります。医学的、心理的、社会的な観点から、若年性パーキンソン病は本人とその家族にとって、特に困難をもたらす場合があります。
PDの殆どは孤発性で家族性(遺伝性)はありませんが、YOPDは全体の6%~8%で遺伝により発症することがあります。YOPDの特徴としては、高齢発症よりも病気の進行速度がはるかに遅く、体の片側に痛みやしびれが生じるジストニアが多く見られること、またL-ドパ製剤や抗精神病薬などの薬剤によるジスキネジア(不随意運動)が生じやすい傾向にあります。認知機能障害はほとんど認められません。
YOPDの仕事と家庭生活
YOPDは、仕事や家庭生活が非常に充実している時期に発症することが多いです。仕事のキャリアを築き、家族の一員としての役割を果たしていく上で、家族全員にとって重大な課題に直面します。
「仕事が続けられるのだろうか?」
「医療費はいくらかかるのだろうか?」
「子育てする親として、また配偶者として今後も役割を果たしていくことができるのだろうか?」
など、不確実な将来に対する不安や疑問が生じます。
結婚生活や恋人との良好な関係を維持するには、誰しも大変な労力を要します。更に、PDという診断が加わると、新たな関係性の構築が求められます。パートナーがPDと診断されると、もう一方のパートナーにも深刻な影響が及びます。病気を抱えながら、家族全員で直面する困難に立ち向かう必要があります。夫婦間、親子間でのコミュニケーションを深め、困難を解決するために、どのようにお互いをサポートし合っていくか、決めておくことが大切です。
すでにご存知のように、PDには運動症状とそれ以外の非運動症状があります。うつやアパシーといった「心」の問題にも直面します。PDの治療を進めていく上で、生活上のストレスも多く経験します。すれ違いやストレスが大きくなったときに、お互いを理解し、サポートする術を学ぶ必要があります。
困ったときは、地域のコミュニティに相談したり、カウンセリングを受けることをお勧めします!PD友の会などに参加して、助言を受けたり学びあったり、情報を共有し、楽しい時間を過ごせる仲間を見つけていくのも一つの方法でしょう。
立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>