新しいデバイス療法 パーキンソン病の方に役立つ基礎知識vol.39

2023年7月に、アッヴィ合同会社からヴィアレブ®(ホスレボドパ/ホスカルビドパ水和物配合剤)が新発売されました。これは従来のデュオドーパ®治療と異なり、外科的手術を必要としないデバイス補助療法です。

現在、パーキンソン病の薬物療法においては、Lドーパとカルビドパ/ベンセラシドとの合剤がパーキンソン病の薬物療法において第一選択薬となっています。しかしながら、病状が進行してくると、服用量が増加し、運動機能や非運動機能の日内変動や、ジスキネジア等の運動合併症が出現してきます。ジスキネジアは、血中のLドーパの濃度が高い時に出現し、日常生活に支障をきたす不随意運動を引き起こします。

一方、血中濃度が低下するとウェアリング・オフと云われるスイッチが切れたような「オフ」の状態になります。そのため、ジスキネジアを伴わないで、薬が程よく効いた「オン」の状態を長く保つことが大事となります。

パーキンソン病は進行性の病気のため、薬の種類や飲み方を工夫しても症状がコントロール出来なくなる場合があります。このような状態を改善する効果が、デバイス補助療法に期待されます。現在、デバイス療法には脳深部刺激療法(DBS)レボドパ・カルビドパ経腸療法(LCIG)があります。

ヴィアレブについて

2022年12月に厚生労働省に承認された新しい治療法です。

専用のポンプ「ヴィアフューザー®」を用いた投与システムで24時間皮下に投与します。経腸持続投与と異なり、腸内環境に左右されず、安定した血中濃度が得られるため、オフ時間の短縮とオン時間の延長が期待されます。

投与前のレボドパ量は、通常覚醒時間(16時間/日)に服用したすべてのレボドパ含有製剤の合計から算出します。COMT阻害剤を服用している場合は、レボドパ量の合計に1.33を乗じて算出します。算出した投与量に基づき、24時間で持続投与する1時間あたりの注入速度を決定し投与します。

ヴィアレブの投与を受けた患者さんにおいて、注入部位の感染症が報告されていることから、清潔操作を行い、輸液セットやシリンジ等は単回使用することが望ましいとされています。また、投与部位も3日に一回は変えながら使用することが勧められています。

ヴィアレブの使用には、内服薬からの切り替えのために、薬剤や投与システムの操作をしっかりと理解し慣れることが必須です。そのため入院が必要とされています。

column-tatukawa.png立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>