最新の画像検査 パーキンソン病の方に役立つ基礎知識vol.38

最近、パーキンソン病の画像診断にはMIGB心筋シンチグラフィーDATスキャンという検査がよく行われています。

MIGB心筋シンチグラフィー

心臓の交感神経終末の状態を調べる核医学的検査です。
MIBG(meta-iodobenzylguanidine:メタヨードベンジルグアニジン)はグアニジン類似の構造を持ち、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)*とよく似た物質です。ノルエピネフリンは交感神経終末から、摂取、貯蔵、放出が行われており、この特性を用いて、ヨウ素123*で放射性標識されたMIBGの集積を評価します。
パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者さんでは、このMIBGの集積低下が、早期診断のバイオマーカーとして有用性が示されています。
検査方法は、放射性の医薬品を静脈注射して、15分後と3-4時間後の2回、放出される放射線の画像を撮影します。この検査ではパーキンソン病と多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症など他のパーキンソニズムや本態性振戦との鑑別診断に役立つことが知られています。

DATスキャン

脳のドパミン作動性神経細胞の線条体の終末部の状態を調べる核医学的検査です。ドパミンが減少するパーキンソン病では、同様にシナプス間隙に放出されたドパミンを再取り込みするドパミントランスポーター(DAT)も減少します。検査では放射性標識された23I-ioflupane(イオフルパン)を静脈注射し、3時間後に30分ぐらいかけて脳の画像を撮影します。123I-ioflupane(イオフルパン)は線条体(尾状核と被殻)のDATに高い親和性を有しており、DAT分布密度を推定するのに役立ちます。

これらの検査では上述した他のパーキンソン病類似疾患との正確な鑑別まではできません。検査はどこの病院でもできるわけではありませんが、診断の補助的な手段として注目されています。


パーキンソン病は手足の震えや歩き難さ(歩行障害)で始まることが多いです。このような症状を感じたら、先ずは神経内科の医師に相談してみましょう。

※注釈
ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)・・・激しい感情や強い肉体作業などで人体がストレスを感じたときに、交感神経の情報伝達物質として放出されたり、副腎髄質からホルモンとして放出される物質
ヨウ素123*・・・放射線画像診断に用いられるヨウ素の放射性同位体

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column-tatukawa.png立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>