レストレスレッグス症候群 パーキンソン病の方に役立つ基礎知識 vol.37

レストレスレッグス症候群

レストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrom: RLS)とは、下肢のむずむずするような異常知覚のために「とてもじっとしていられない衝動」が生じる睡眠関連疾患です。日本では、むずむず症候群と呼ばれることが多いですが、日本神経学会の神経学用語集では「下肢静止不能症候群」と称されています。

特徴としては、足の中を虫が這うような、ムズムズするような感覚であったり、足のほてり、かゆみや痛みの症状が現れます。この足の不快感は夕方から夜にかけて起こり、特にじっとしているときに現れ、眠りを妨げることになります。
この不快感を軽減するために、足を揉んだり、マッサージしたり、軽く叩いたり、動き回ったりせざるをえず、重度の不眠症状を呈することになります。

この症状は、鉄欠乏性貧血や糖尿病、慢性腎不全(人工透析)に罹患した人によく見られます。妊婦さんにも時々見られます。その他、家族に発症した人がいると起こりやすいことから遺伝的素因も考えられています。パーキンソン病でもこの症状が見られ、ドパミン作動経路の機能異常が原因と考えられています。

治療

治療は、薬物療法と生活習慣の改善になります。パーキンソン病患者さんでは、寝る前のドパミンアゴニスト*が有効とされています。
コーヒーや緑茶に含まれるカフェインやアルコールもむずむず症状の悪化要因ですので、夕方以降は摂取を避けましょう。寝る前の飲酒も控えたほうがいいでしょう。また、運動不足や就寝前の過度の運動は、症状を悪化させると言われています。適度な運動、ウォーキングなど軽い運動を行うようにしましょう。

ドパミンアゴニスト*・・・ドパミン受容体に直接作用することにより、パーキンソン病で足りなくなったドパミンの作用を補い、症状を改善します。薬剤の化学構造の違いで大きく2種類に分けられており、麦角系と非麦角系のドパミンアゴニストがあります。

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column-tatukawa.png立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>