パーキンソン病の方に役立つ基礎知識 vol.17 レム睡眠行動異常 

レム睡眠行動異常

睡眠にはサイクルがあり、夢を見る「レム睡眠」と、大脳を休める「ノンレム睡眠」が約90分周期で変動します。
レム睡眠の間には急速眼球運動(rapid eye movement: REM)が現れることから、この頭文字を取ってレム睡眠と呼ばれ、身体の姿勢を保つ筋肉(抗重力筋、姿勢筋)の緊張がほとんどなくなり、大きな声を出すことも手足を動かすこともありません。

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夢を見るのはこのレム睡眠の時期ですが、手足が動かないので夢の内容を行動化することは出来ません。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠中に身体が動き出してしまう睡眠障害で、寝言や上下肢が軽度動く程度のものから、怒鳴る、叫ぶ、隣の人や物を殴る、蹴飛ばす、など攻撃的・暴力的な行動が出現します。

レム睡眠期の筋活動抑制に関係している中枢部位として橋の青斑下核や、延髄の巨大細胞性網様核が知られています。パーキンソン病では、静止時振戦などの運動障害の出現する10年以上前から、この睡眠異常が起こるといわれています。

近年、このレム睡眠行動障害は、パーキンソン病やレビー小体型認知症などシヌクレイノパチーの発症リスクが高いことがわかってきました。

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シヌクレイノパチー:神経細胞とグリア細胞におけるα-シヌクレインの異常構造と凝集を
特徴とする神経変性疾患。 パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)、および多系統萎縮症(MSA)などが含まれます。


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column-tatukawa.png立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>