2023/09/05
パーキンソン病コラム
パーキンソン病の方に役立つ基礎知識 vol.16 脳内のドーパミン経路
脳内のドーパミン経路
主に脳内のドーパミン経路は4つ!
①中脳皮質系経路:中脳腹側被蓋野から前頭葉や側頭葉に投射する経路
②中脳辺縁系経路:同じく中脳腹側被蓋野から大脳辺縁系へ投射する経路
③黒質線条体経路:中脳黒質から線条体(被殻+尾状核)へ投射する経路
④漏斗下垂体経路:視床下部から下垂体へ至る経路
ドーパミンは学習・記憶、注意や実行機能などの認知機能に関係しており、
パーキンソン病における認知症発症リスクは、健常者の6倍高いとの報告もあります。
辺縁系への経路は、特に側坐核が重要な役割を担っています。
ここでは「報酬系」と呼ばれる、欲求が満たされたときに活性化し、
「気持ちよさ」や「幸福感」を引き起こすシステムが働いています。
パーキンソン病では、やる気の無さ、アパシー(興味や意欲の障害)も
非運動症状の一つです。
運動機能の調節には、黒質線条体経路が重要な役割を担っています。
黒質のドーパミン作動性ニューロンの変性により、線条体ドーパミン量が低下し、
安静時振戦、筋固縮、無動といった運動機能の障害が生じると考えられています。
視床下部のドーパミン経路は、泌乳や妊娠維持等に関連したプロラクチンの
放出抑制因子として働いています。このため、高プロラクチン血症の治療薬として、
ドーパミンアゴニストが使われることもあります。
立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>