パーキンソン病患者必見! レボドパとの併用で注意すべきビタミンB6 パーキンソン病の方に役立つ基礎知識 vol.62

ビタミンB6とは?

ビタミンB6は、ピリドキサール、ピリドキサミン、ピリドキシン、及びそれらのリン酸エステル型であるピリドキサール5'-リン酸(PLP)、ピリドキサミン5'-リン酸(PMP)、ピリドキシン5'-リン酸(PNP)の6種類の化合物の総称です。これらは体内でアミノ酸・脂質・炭水化物の代謝を助けたり、神経伝達物質の補酵素として重要な働きを担っています。また、ヘモグロビンの形成や免疫機能の維持、皮膚の抵抗力の増進、ホルモンの調節因子としても役立っています。

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ビタミンB6とレボドパ

ビタミンB6の化合物は、体の中でお互いに変化し合います。その中でもPLPは、レボドパ*をドパミンへ変換するドパ脱炭酸酵素(DCI)のサポート役として働きます。そのため、ビタミンB6を接種するとレボドパが脳内に届く前にドパミンに変換され、結果としてレボドパの効果が弱まる可能性があります。そのためビタミンB6の摂取には注意が必要です。

ビタミンB6を多く含む食材

ビタミンB6が豊富な食材としては、赤身の肉やヒレ肉、ささみなどの脂が少ない肉類、バナナ、パプリカ、さつまいも、玄米などが挙げられます。食事摂取基準(2020年版)によると、1日の推奨される摂取量は、成人男性で1.4mg、成人女性で1.2mgとされています。

レボドパ補充療法

パーキンソン病(PD)の第一の選択薬であるレボドパ補充療法では、レボドパが脳内に達する前に代謝されるのを防ぐため、DCIであるカルビドパやベンセラジドを配合した合剤(メネシット、マドパーなど)を使用することが多くなっています。これらの合剤では、通常のビタミンB6摂取による薬効の低下は問題にならないとされています。
しかし、バナナにはピリドキシン(ビタミンB6)が多く含まれているため、レボドパ単剤を使用している場合は、バナナとの同時摂取を控えたほうが良いとされています。

サプリメントの過剰摂取に注意

近年の健康ブームにより、20代から70代のの3割以上の人が毎日の健康づくりにサプリメントを愛用しています。ビタミン類を多量に含有したサプリメントが数多く市販されていますが、過剰摂取は避けたほうが良いでしょう。
通常の食事では摂取するビタミンB6は微量ですので問題ありません。極端な食事制限をするとビタミンB6が欠乏し、さまざまな症状を引き起こす場合があります。

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ビタミンB6欠乏症のリスク

ビタミンB6欠乏症により、末梢神経障害や脂漏性皮膚炎、舌炎、口角炎を伴うペラグラ様症候群が発症する可能性があります。成人では、抑うつ、錯乱、脳波異常、および痙攣発作が起こることもあります。

*レボドパ 脳内のドパミンという神経伝達物質を増やす薬
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column-tatukawa.png立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>