ゴーシェ病とパーキンソン病の関係 パーキンソン病の方に役立つ基礎知識vol.53

ゴーシェ病(Gaucher disease)とは、グルコセレブロシダーゼ(別名β-グルコシダーゼ)という加水分解酵素の活性が不足または欠損しているために、糖脂質のグルコセレブロシドが肝臓、脾臓、骨髄(マクロファージ)に蓄積する先天性の代謝異常症です。


ゴーシェ病は常染色体劣性遺伝で、両親から変異を受け継いだ場合に発症します。日本では33万人に1人の割合で発症する非常に稀な病気です。
 原因遺伝子、グルコセレブロシダーゼをコードするGBA遺伝子の変異が、パーキンソン病(PD)の発症リスクを高めることが報告されており、PDとの関連が疑われていました。*


東大の辻教授らによる大規模な国際研究によると、PDを発症している人の約7%がGBA遺伝子の変異をキャリアーとしており、31種類もの変異が見つかったと報告されています。

GBA遺伝子の変異がPDの危険因子としてどのように作用しているかは、現時点では解明されていませんが、次の2つの考えが議論されています。

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糖脂質代謝異常

グルコセレブロシダーゼ酵素活性が50%以下になることで何らかの糖脂質代謝の異常になり関与する

変異タンパク質による細胞ストレス

変異したグルコセレブロシダーゼ蛋白が適切なプロセッシングや細胞内局在(一定の領域に存在して機能する)ができず、細胞にストレスを与える、毒性機能を獲得する

今後の研究により、パーキンソン病の病態メカニズムの解明と治療法の開発が期待されています。

*(文献:Parkinsonism among Gaucher disease carriers, J Med Genet. 2004 Dec;41(12):937-40. doi: 10.1136/jmg.2004.024455.)

column-tatukawa.png立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>