疲労とパーキンソン病 パーキンソン病の方に役立つ基礎知識vol.45

パーキンソン病(PD)患者にとって、疲労は一般的な問題ですが、あまり認識されていません。PDにおける疲労は、エネルギー不足の感覚として定義され、日常活動を行う際に肉体的または精神的な負担を感じることを意味します。

PD患者は、身体的疲労、精神的疲労、またはその両方を経験することがあります。
この疲労は、忙しい一日の仕事の終わりに感じる疲労感とは異なり、必ずしも少し休めば治るというものではありません。

PD患者が感じる疲労にはさまざまな表現があります。

PD患者が感じる疲労

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PDにおける疲労は、病気の初期段階で発症する傾向があり、通常は最初の数年で感じられます。運動症状が始まる前に現れ、総じて消えません。軽度の運動症状しかない人でもかなりの疲労を感じる場合があり、逆に重度の運動症状がある人でもほとんど疲労を感じないこともあります。

疲労はPDにおける他の問題、特にうつ病や睡眠障害と大きく関連しています。疲労を感じる人はうつ病になる可能性が高く、うつ病の人は疲労を感じる可能性が高いです。しかし、疲労を感じているがうつ病ではないPD患者も多く存在します。

PDにおけるうつ病

PDにおけるうつ病は、通常抗うつ薬によく反応し、うつ病に関連した疲労も投薬治療により改善する可能性があります。睡眠障害はPDによく見られ、疲労した患者は眠くなることがありますが、眠気と疲労は異なります。眠気は睡眠によって改善されますが、疲労は必ずしも睡眠や休息によって改善されるわけではありません。

疲労は生活の質にも大きな影響を与えます。疲労を感じている人は、疲労を感じていない人ほど人生を楽しむことが難しくなります。疲労は、日常生活活動、友人や家族との交流、社会活動などを行う意欲や能力を低下させます。

PD患者は、疲労が病気の一部であり、全体的な健康状態に大きな影響を及ぼすことを認識する必要があります。疲労の一部は、睡眠の改善、PD薬の変更、うつ病の治療、または運動プログラムの導入によって改善できる可能性があります。病院を受診する際には、医師に疲労について相談してみるとよいでしょう。

column-tatukawa.png立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>