体重低下について パーキンソン病の方に役立つ基礎知識vol.42
パーキンソン病の患者さんは痩せている方が多いです。
これは食事摂取量の減少と消費エネルギー量の増加、すなわち摂取カロリーと消費カロリーのバランスが崩れることが原因とされています。
摂取カロリーが減少する原因
①食欲が低下する
②咀嚼・嚥下障害
③消化管の機能が低下する
消費カロリーが亢進する原因
①振戦によるもの
②不随意運動によるもの
③筋強剛(筋肉が固くなること)
④自律神経障害からくる代謝の亢進(発汗、不眠、頻尿などによるもの)
早期のパーキンソン病患者さんの体重変化が、運動機能のパフォーマンスや認知機能に関係しているかどうかを358人の患者さんに追跡調査した研究では、*早期の体重減少は全体的な認知機能の低下と実行能力の低下、つまり比較的速い病状の進行と関連していることが報告されています。
体重減少の原因の一つである嚥下障害は、自覚症状がない早期から見られます。不顕性の誤嚥を引き起こし、誤嚥性肺炎のリスクを高め、さらにはフレイル・サルコペニア症状の進行を早めるリスクを高めます。
体重減少を防ぐための食事摂取の方法
まずは一日3食(朝昼晩)しっかりと、体を維持し毎日の活動に必要なエネルギー源となる栄養素の「炭水化物、たんぱく質、脂質」の3つを、主食(ご飯やパン)や主菜(肉や魚、豆料理)から摂ることです。
一日3食しっかり食べても体重減少が見られるときは、間食で補うようにしましょう!
年を取ると食事量も減少してきますが、次の食事に影響しない程度に間食でタンパク質や炭水化物を採るように心がけましょう。
少量の食事を頻繁に摂取することで一日の総量をできるだけ多く維持するようにしましょう!
食事の形態を変える工夫
飲み込みにくさから食事量が維持できないときには、食事の形態を変える工夫も必要です。水分を多くして柔らかくしたり、とろみを付けて飲み込みやすくしたりして食事量を維持しましょう!食欲が無いときは、食べられる分だけ食べて、その時に好きな物を食べるようにすると良いでしょう!手軽に栄養補給できる高カロリーな栄養補助食(メイバランスなど)も有用となります。
これらの対策を通じて体重減少を防ぎ、健康を維持しましょう。
*参考文献(Kim et al., Association of Early Weight Change With Cognitive Decline in Patients With Parkinson Disease. Neurology, Jan. 10, 2023 issue100 (2) e232-e241, https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000201404. )
立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>