2024/01/02
パーキンソン病コラム
貼付剤(パッチ製剤) パーキンソン病の方に役立つ基礎知識vol.32
ドパミン受容体作動薬(ドパミンアゴニスト)
レボドパ製剤と並んで、パーキンソン病の治療薬によく用いられるものにドパミン受容体作動薬(ドパミンアゴニスト)があります。
神経伝達物質であるドパミンは、中脳黒質の神経細胞で作られ、投射先である線条体の神経終末で小胞放出されます。
放出されたドパミンは線条体にある神経細胞の樹状突起(スパイン)にあるドパミン受容体に結合し、信号を伝達します。ドパミンアゴニストは、この受容体に直接作用することによりドパミンを補い、症状を改善する薬です。
開発当初は、麦角構造を持つ麦角系のアゴニストが使われていましたが、心臓弁膜症や肺線維症など線維化が起こることがわかり、2007年以降は使用上に注意を要するようになっています。
貼付剤(パッチ製剤)
現在は非麦角系のプラミペキソール、ロピニロール、ロチゴチンが主流として使われています。貼付剤(パッチ製剤)が開発され、ロピニールやロチゴチンは経皮吸収製剤として、食事や腸管の環境に影響を受けず、常に一定の効果が得られる利点で用いられています。
難点としては、貼った場所にかゆみ、かぶれや赤みといった皮膚症状がでることがあり、毎回貼る場所を変えるなどの工夫が必要になります。
ドパミンアゴニストを用いる上での基本的な注意点として、突発的睡眠が挙げられます。突然眠り込んだり、強い眠気が生じることがあります。
また、幻覚や妄想、せん妄などの精神症状やギャンブル依存、買い物依存、過食や性的衝動など衝動制御障害も問題となってきます。
立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>