2023/11/07
パーキンソン病コラム
パーキンソン病の方に役立つ基礎知識vol.24 アデノシンA2A受容体拮抗薬
アデノシンA2A受容体拮抗薬
パーキンソン病は脳内のドーパミンが不足することで、手足の震えや筋肉のこわばりが生じる病気です。
ドーパミンが不足すると脳内のアデノシンという物質が優位になります。大脳基底核の神経細胞ではアデノシンが優位になると、GABA(γ-アミノ酪酸)という身体の動きを抑える物質が分泌されます。過剰に放出されたGABAの作用により運動機能低下の障害が生じます。
パーキンソン病の主な治療にドパミンを補充する薬でレボドパ製剤がありますが、長期に服用すると、Wearing-off(ウェアリングオフ)*現象が出現します。
アデノシンA2A受容体拮抗薬*であるインストラデフィリン(商品名ノウリアスト)はアデノシンA2A受容体*の働きを抑え、運動機能の低下を引き起こすGABAの分泌を抑えることで運動機能などの症状を改善することが期待されます。
日本では世界に先駆けて2013年に承認されています。臨床試験では、1日1回の服用、レボドパ・カルビドパ配合錠との併用で、約1時間のオフ時間の短縮効果があると報告されています。
一般的な副作用としてジスキネジア (異常な不随意運動)、幻視や幻覚、妄想、せん妄、不安感、精神変調などの精神障害、めまい、便秘等の症状が現れることがあります。
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※注釈
Wearing-off(ウェアリングオフ)・・・薬の効果持続時間が短縮して身体が動かなくなる症状
アデノシンA2A受容体・・・アデニル酸シクラーゼ促進性のGたんぱく質(Gs)と共役するGPCRで、線条体や大脳皮質、海馬、冠血管、肺、血小板など生体内の幅広い部位に分布している。
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