パーキンソン病の方に役立つ基礎知識vol.25 日中の過度の眠気
日中の過度の眠気
パーキンソン病の患者さんには、夜間不眠と日中の眠気をきたす睡眠障害が見られます。日中の眠気は夜間の睡眠が浅いことと関係していますが、それだけでもないようです。
約24時間周期で繰り返す生物学的リズムを「概日リズム」(サーカディアンリズム)と呼びます。概日リズムの乱れがパーキンソン病の睡眠障害とも密接に関係しているとも云われています。
夜間の眠りを誘う「睡眠ホルモン」として脳の松果体という部分から分泌されるメラトニンがあります。メラトニンは必須アミノ酸であるトリプトファンからセロトニンを経て体内合成されます。パーキンソン病患者さんではドーパミンが減少するとセロトニンも減少することが知られており、結果としてメラトニンが減少することになります。
メラトニンは朝の光を浴びて14-16時間後に増えてきて、その作用で深部体温が低下し、休息に適した状態に導かれ眠気を感じるようになります。治療としてパーキンソン病患者さんへ高輝度光療法*を行うことにより、概日リズムの位相がシフトし睡眠障害が改善したとの報告もあります{文献:Bright light improves sleep in patients with Parkinson's disease: possible role of circadian restoration, Scientific Reports vol10, Article number: 7982 (2020) }。
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※注釈
高輝度光療法・・・高照度光器具を用い、通常5,000~10,000ルクスの光を1日30分~1時間浴びる治療法。
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立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>