パーキンソン病の方に役立つ基礎知識 vol.21 抗てんかん治療薬 ゾニサミド(トレリーフ)

抗てんかん治療薬 ゾニサミド(トレリーフ)

てんかんは、脳の神経の電気信号が過剰に発射され、意識障害やけいれん発作を繰り返す病気です。本邦では抗てんかん薬として20年来使われてきた薬にゾニサミドというものがあります。


<ゾニサミドの薬理作用>
抗てんかん作用は、T型カルシウムチャネルの遮断、グルタミン酸放出抑制、GABAA受容体修飾作用、炭酸脱水酵素阻害などによると考えられています。てんかんを持つパーキンソン病患者にこの薬を使ったところ、パーキンソン症状にも効果があることがわかり、2009年にパーキンソン病治療補助薬として承認されています。
抗パーキンソン病作用については十分な解明はされていませんが、ドーパミン作動性神経細胞に対するMAOB阻害やドーパミン放出亢進が報告されています。パーキンソン病では、線条体のドーパミントランスポーター(DAT)*が病期の進行とともに減少します。このためDATーSPECTという画像診断が、血管性や薬物性パーキンソニズムとパーキンソン病の鑑別診断に使われています。

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<ゾニサミドの効果>
DATの減少やドーパミン作動性神経細胞を保護して細胞が減少していくのを抑制し、病期の進行を遅らせる可能性があると示唆されています。

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※注釈
ドーパミントランスポーター(DAT)・・・中脳黒質のドパミン作動性神経細胞の線条体の終末部にある構造物。ドパミンを取り込んだり、ドパミン量を調整する部分

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column-tatukawa.png立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>

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