パーキンソン病の方に役立つ基礎知識vol.27 パーキンソン病の歴史
パーキンソン病は,振戦,筋強剛,運動緩慢,姿勢保持障害を主症状とし,黒質ドパミン神経細胞の脱落とレビー小体の出現を特徴とする神経変性疾患です。
1817年 ロンドンの外科医であるジェームズ・パーキンソン(James Parkinson)が6例の症状を子細に観察して、「An Essay on the Shaking Palsy」にまとめて出版しました。
彼はこの著書の中で筋強剛以外の三大症候の記載に加え,前傾姿勢,流涎,小刻み歩行,小字症をはじめとした様々な運動症状,さらに非運動症状まで言及しています。
後に、神経学の祖といわれるフランスの神経科医、ジャン=マルタン・シャルコー (Jean-Martin Charcot)が筋強剛を記載して、パーキンソン病と命名したことが知られています。
出典:Wikipedia
1912年
ドイツ生まれの神経学者でアメリカで活躍した、フレデリック・ヘンリー・レビー(Frederic H. Lewy)によってレビー小体という細胞内封入体が発見されました。
1919年
ロシアの神経病理学者であるコンスタンティン・ニコラエヴィッチ・トレティアコフ (Konstantin Nikolaevitch Tretiakoff)によって、パーキンソン病の黒質での脱落変性について初めて記載されました。この当時の治療法は、外科的手術、脳定位淡蒼球破壊術などが主流でした。
1957年
アルビッド・カールソン(Arvid Carlsson)が大脳基底核に伝達物質としてのドーパミンを発見、1959年に大阪大学医学部精神科の佐野勇教授らによってパーキンソン病でドーパミンが減少していることが報告されました。
1960年
オーストリアの生化学者であるオーレ・ホルヌィキェヴィチ(Oleh Hornykiewicz)によって、パーキンソン病が脳内のドーパミン欠乏によるものであることが発見されました。
1961年
ホルヌィキェヴィチはパーキンソン症状が血液脳関門を通過するドーパミンの前駆体であるL-ドーパで改善することを報告しました。
1968年
ジョージ・コンスタンティン・コツィアス(George Constantin Cotzias)の論文が発表され、L-ドーパによる治療法が確立されました。
少量のL-ドーパを経口投与し、徐々に容量を増やしていき、症状が劇的に改善し安定させる方法を確立し、現在の標準治療スタイルの礎となっています。
立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>