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パーキンソン病の方に役立つ基礎知識 vol.20 抗コリン薬:アーテン

抗コリン薬:アーテン

被殻と尾状核から構成されている線条体は、大脳基底核の主要な構成要素の一つです。運動機能への関与とともに意思決定の過程にも関与していることが知られています。

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線条体では2つの神経伝達物質であるドーパミンアセチルコリンの働きによって筋肉に指令を出します。パーキンソン病では、ドーパミンの減少が生じることによりアセチルコリンの増加が起こり、それらのバランスが崩れることによって運動機能障害が出現します。

パーキンソン病治療に画期的な効果をもたらした、現在最も強力な治療薬であるL-ドーパ製剤が登場したのは1970年代ですが、この薬が登場する以前には抗コリン薬しかありませんでした。

アーテンという名で知られるこの薬は、1949年米国サイアナミド社 で合成され、日本では1953年から広くパーキンソン病の治療薬として使われてきました。ドパミン欠乏によって線条体に生じている相対的なアセチルコリン系の機能亢進を抑える効果が期待されていましたが、現在ではあまり使われなくなりました。

抗コリン薬(アーテン)は振戦(ふるえ)の改善に効果があり、L-ドーパ製剤やドーパミンアゴニストでうまく改善しない場合に補助的に用いられるようです。しかしながら、物忘れや錯乱・幻覚症状など、認知機能障害が現れることがあります。特に、高齢の患者さんへの投与は、推奨しないとされています。また、口渇、視力異常、便秘、排尿障害といった副作用も認められています。

column-tatukawa.png立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>

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