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パーキンソン病の方に役立つ基礎知識 vol.15 シヌクレイノパチー、血液検査で検出可能?

シヌクレイノパチー、血液検査で検出可能?

シヌクレイノパチーとは、神経細胞やグリア細胞にα-シヌクレインと呼ばれるタンパク質の異常構造や凝集体の蓄積を特徴とする神経変性疾患です。

これには、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症の3つがあります。
正常型のα-シヌクレインが何らかの要因で異常構造型のα-シヌクレインに変化し、病的な凝集体を形成することで神経変性・細胞死に至らしめると考えられています。

最近、順天堂大学大学院医学研究科神経学の服部信孝教授らの研究グループは、パーキンソン病らの患者さんの血清から、病的な構造をもつ凝集体「α-シヌクレインシード」を検出することに成功した、と報告がありました。
Nature Medicine誌のオンライン版に2023年5月29日付で公開)

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シヌクレイノパチーは、パーキンソニズム、認知障害、睡眠障害、および幻覚を特徴としています。
「これらの病気の広がりは血液を介した経路が関与している可能性がある」との仮説から、極微量のα-シヌクレインシードを検出する方法を開発し、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症の患者さんらの大規模なスクリーニング検査を行ったところ、疾患ごとに異なる凝集体構造を持つことが電子顕微鏡像で明らかにされました。
これらの手法により、疾患の鑑別にも用いることができるものと期待されています。

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レビー小体型認知症:認知症の一つ。認知機能が良いときと悪いときが波のように変化します。
多系統萎縮症:筋肉が硬くなり(筋強剛)、運動障害、協調運動障害、体内プロセス(血圧や膀胱の制御など)の機能不全などが起こります。

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column-tatukawa.png立川 哲也
<理学療法士、PD 療養指導士、生命科学博士、LSVT®BIG ライセンス認定者>

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